〇前回公開した記事や動画「横転事故の真実」では、たくさんの方から、温かいコメントをいただきました。ありがとうございます。また、事故8日後に現車ハイエースキャンピングカーを契約した理由についても、お話ししました。
〇ハイエースは、広い荷室・車内空間と安定した走行性能で、長年にわたり多くの人に愛されている国民車ですが、大きなボディや視界の高さから、初めて運転する方には「難しい」「怖い」と感じることもあるようです。特に、狭い道や駐車する際は不安という声をよく耳にします。さらに、ハイエースベースのキャンピングカーになると、そのうえに、高さがより高くなるので、特別な配慮が必要になります。
今回の記事では、そんなハイエースキャンピングカーの運転が怖いと感じる理由と運転コツ、運転する前にできる対策、車中泊旅における注意点をご紹介します。
この記事を見れば、安心してハイエースキャンピングカーを運転するための具体的なコツやノウハウが得られるので、上手く乗りこなし、快適なキャンピングカーライフを送るためにも、ぜひ最後までご覧ください。
〇ハイエース、もしくはハイエースベースのキャンピングカーは、どのタイプ(大きさ)を選びますか?私は、ワイド・ハイルーフ・スーパーロングを選びました。
ハイエースにはいろんなタイプのボディサイズがあるので、購入に当たっては、迷われている方も多いのではないでしょうか。そんな方々にも、すでに同じタイプのハイエースを乗られている方にも、車選びの参考、もしくは快適な車中泊旅を送る際の参考にもなれば嬉しく思います。
ハイエースのボディタイプ
〇人気のあるハイエースですので、皆さんは良くご存じのことですが、ハイエースには、「バン」「ワゴン」「コミューター」の3つのタイプがラインナップしており、それぞれにグレードが設定されています。キャンピングカーには、主に、「バン」が採用されています。「バン」にも、大きさに違いがあって、幅によってナローとワイド、高さによって標準とミドルルーフ、ハイルーフ、長さによってロングとスーパーロングなど、いろんな選択ができますが、組み合わせはたったの4つです。

さらに、エンジンの種類によっても区分され、また、4ナンバー登録か、1ナンバー登録か、8ナンバー登録かも選択の際の判断材料になっています。この記事では、大きさに限定して話を進めたいと思います。

〇使い勝手の面から観ると、高さ制限、長さ制限の多いコインパーキングやスーパーなど商業施設の駐車場などにも入れる日常使いがしやすい「ロング、ミドルルーフ」までの大きさのハイエースを選ぶか、あくまで居住性を重視して、ハイルーフやスーパーロングタイプのハイエースを選ぶかがポイントになります。ちなみに、4ナンバーのハイエースと、トヨタのヴォクシーは長さも幅もほぼ同じで、ハイエースの方が高さが10cm高いだけで、普通車と比べてみても、そこまでサイズが変わらないと言われています。
【私のハイエースキャンピングカー】
〇私が所有するハイエースは、「ワイド・ハイルーフ・スーパーロング」のフル規格の大型の車です。

〇中古キャンピングカー販売店で初めて見たとき、めちゃくちゃデカい! こんなの運転できるのかな? と思ったくらいです。一方で、居住性は高く、車内高が1.63mで平均的な女性なら頭をつかえることなく立つことができます。
〇コインパーキングに停めれないことはないですが、かなりの苦労と窮屈を伴い、停める場所によっては、ほかの車の迷惑にもなってしまうこともあります。前面通路の幅員が狭かったり、隣の車が大きかったりすると、最悪出れないことになってしまうリスクがあるので、狭い場所は意識的に避けることにしています。
〇どんなタイプを選ぶかは、「操作性」と「居住性」のバランスがポイントになりそうですね。
大失敗事例

〇前車のキャブコンは、高さが2.7mくらいありましたが幅や長さはハイエースよりも小さいサイズでした。恥ずかしながら横転事故をご紹介した後にも、実は、前車で、バック駐車する際に、上部にある突起物に気づかず、ルーフ上部付近が接触して穴が空いたことがあります。後方不注意というよりも、後方上部不注意が原因でした。

〇さらに現車ハイエースでも、コインパーキングを出庫する際、助手席側後部が隣に駐車している車にかすかに接触したことがあります。私は全く気付かず、助手席に持っていたペスパ(妻)がかすかな変化に気づいて教えてくれたので、すぐに確認してみると、隣の車のバンパーが曲がっていました。私の車はタオルで拭くと何もなかったような状態でした。隣の車をゆっくりと押して曲げたようです。
〇どちらの事例も、明らかに不注意と経験不足が原因なのですが、キャンピングカー特有の高さと長さ(内輪差が大きい)が影響しているのは間違いありません。これらの事例も「横転事故」と同様、丁寧に経緯をお伝えできればいいのですが、今回は、この動画を作ることで、これから乗ろうとされている方々、すでに乗っておられる方々の参考になれば救われます。立て続けに連続して大小の事故があったので、厄除け神社にお参りしました。
キャンピングカーで注意すべき4つの視点
〇前置きが長くなりました。早速、本題に入ります。ハイエースキャンピングカーで注意すべきポイントは、長さ、幅、高さ、重さの4つです。
長さの問題


〇内輪差という言葉を聞かれたことがあると思います。回ろうとする内側の前輪と後輪の軌跡が大きく違う時に、後輪付近が巻き込んでしまう(先に接触してしまう)ことを言います。先にご紹介した私の接触事故は、これが原因の一つです。特に、スーパーロングの場合は、今まで乗っていた普通車の感覚でハンドルを切ってしまうと想像以上に曲がってしまいます。

〇実際に左側に駐車している車があって、その左前方に進む様子をバックミラーで確認してみました。普通車のイメージでハンドルを切ると、内輪差のために、左隣の車に後部が接触しそうになります。

〇次に、同じく左側に駐車している車があって、右前方に進む様子をバックミラーで確認してみました。左後方部の外輪差で隣との車の距離が縮まっているのがわかります。

〇対策としては、ハンドルをすぐには切らず、まずは少し前に出てから、大きくハンドルをきれば巻き込みを防止できます。しかし、それには前方の長さと横の広さが必要になります。そこを抑えるのがポイントです。

ハンドルをスムーズに回せるように、後日、ハンドルスピンドルなるものを購入して取り付けました。これが優れもので、簡単にハンドルを回すことが出来て重宝しています。

〇コインパーキングをイメージするとわかりやすいと思います。前面通路と間口の関係は表の通りとなります。通路幅は5.5mあるかどうか、間口は広い、奥行きに余裕があるかどうかなどをできるだけ事前にグーグルマップ等で確認するようにしています。

〇長さのもう一つの課題は、バック駐車時の後方視界の悪さです。特に、後方に樹木や生垣、塀などがあったり、特に注意が必要なのは、花壇や突起物が後方下部に出ているときです。

さらに、それらの障害物が斜めにある場合は、左右の遠近感を正確につかみにくく、手前の角にバンパーなどをぶつけてしまうことがあります。


〇対策としては、デジタルバックミラーやバックモニターで後方を丁寧に把握することや、わかりにくいときには下車して目視で確認することです。
幅の問題

〇初めてハイエースワイドに乗った時、横が広いなと思いました。助手席のベスパ(妻)が遠く感じました。

〇さらに、左後方の視界が極めて悪いのにも苦労しました。前車のキャブコンも左後方視界がよくありませんでしたが、それを大きく上回る悪さです。助手席にベスパ(妻)が乗っていれば教えてもらえますが、一人の場合はそうもいかないので、オートバックスで買ったミニバックミラーを取り付けています。写真の①です。

〇顕著な事例として、ファスナー合流があります。ミニバックミラーでもわかりにくいので、さらに良く見える大き目のサイドミラーの設置が必要かもしれません。

〇左後方に人に見立ててスタンドを置いてみました。ミニバックミラーが車のバックミラーの死角を多少カバーしてくれているのがわかります。

〇前面道路や出入りが斜め合流となる場合にも、多少死角をカバーしてくれています。

〇初めての土地に旅する時には、行きたい場所に繋がる全ての道を調べることはできませんが、山間部で道が狭いことが容易に予想できる場所では、事前に、グーグルマップのストリートヴューで状況を確認するようにしています。経験上、おおむね、このチェックで予想通りの結果になっています。時には、確認できていないすれ違いが困難な細い道を通りそうになることもありますが、そこは安全側で判断してリスクを減らすようにしています。ここだけの話ですが、何度か苦戦したこともあります。

〇また、これはグーグルマップを使ったことのある人は誰もが経験してことだと思いますが、グーグルマップが教えてくれる道路を機嫌よく通行しているといつのまにか細い道に誘導されていたことがよくあります。特に、幹線道路から分岐してショートカットするような旧道らしき道を案内される場合が多く、夜間ならそのまま突入、時間帯によっては、少し遠そうでも幹線道路を選択するなどで対応していて、おおむね成功しているように思います。山間部での対応については、経験上の感覚に頼っています。成功あり失敗ありと言ったところでしょうか。
高さの問題

〇最もキャンピングカー特有の問題となります。標準のハイエースでも1BOXカーよりも10cm以上、キャンピングカーでは50cm以上高いので、特段の注意が必要です。私の車には、あらかじめシールが貼ってあって、注意を促してくれています。

〇軒の飛び出し、樹木の張り出しなど、上空の障害物は意外と盲点になります。

〇また、市街地の駐車場入り口の張り出し屋根が低い時、高さ制限があっても何とかいれたいときがあるので、入る前に上部が接触しないか確認しています。これは、あくまで自己責任、ぶつければ問答無用となります。お勧めはしません。都会でコインパーキングを利用するときの最大の課題です。
時には、制限通りに従うと、停めるところがなくなってしまうエリアもあるかもしれません。上部を意識的に確認すること、特に、構造物の場合は、高さのチェックが必要ですね。

〇横風が強い場合やトラックが追い抜く時の風圧によって、横揺れが発生しやすいので、速度超過は禁物です。カーブを曲がるときの遠心力も大きく、重心も高いので、横転の注意が必要です。特に、キャンピングカーは、のんびりとおおらかに運転することが不可欠ですね。
重さの問題

〇私のハイエースキャンピングカーの車検証を見ると、車両総重量が3トン近くになり、それに装備類を追加したり、食料や水などを合わせると、かなりの重さになります。


〇車に荷物を常時積み過ぎていると、タイヤに負担がかかり過ぎて、タイヤが摩耗しやすくなってバーストし、横転事故に繋がる可能性があります。別記事でご紹介したとおり、前車で、高速道路上でタイヤバーストによって横転し、一歩間違えると大事故になるところでしたが、怪我なく大事に至らなかったことがあります。


〇積載荷物を積み過ぎていないかのチェックと併せて、乗車前のタイヤの空気圧や摩耗の状態等の点検、走行時の異常のチャック、タイヤの定期交換なども重要ですね。

〇私の場合、中古ハイエースキャンピングカーを購入したときには、走行距離も少なく、タイヤも新品同様に綺麗でしたが、年式も交換時期を過ぎていたので、GWの長期距離くるま旅の前に、新品のキャンピングカー専用タイヤに履き替えました。

〇その後、約半年を過ぎた頃、荷重条件などもチェックして冬タイヤとタイヤチェーンを購入しました。

〇下り坂でブレーキ制動をかけ過ぎると、ブレーキが加熱して制動が効かなくなってコントロールできなくなる事故が起きる可能性があります。エンジンブレーキを使うことは誰も知っていますが、勾配がきついとエンジンブレーキをかけていても加速していくことがありますので、坂に差し掛かる前からスピードはできるだけ抑えることが重要になります。

〇また、頻繁にブレーキを踏む機会が続くと、場合によっては、ストップランプが玉切れになって後続車へのシグナルができなくなって追突事故の危険も発生します。関西から群馬県の草津温泉に行ったときに、後続のキャンピングカーの方から切れていることを教えてもらい、すぐ近くのトヨタショップを探して処置したことがありました。

〇上り坂の場合、前車キャブコンでは、速度が極端に遅くなるので、登坂車線を遡行したり、登坂車線がないところでは、広くなった路側帯に停車して後続車を先に行ってもらったりしていました。
コインパーキング駐車

〇古都京都や鎌倉などの文化遺産を訪ねたり、各地の城下町や港町を観光するときには、都会のコーンパーキングに駐車するしか方法がないときがあります。これが車中泊の最大の課題となっています。一般的には、普通乗用車(いわゆる3ナンバー)及び小型乗用車(いわゆる5ナンバー)を対象とする駐車場が多く、なかでも、駐車ますのサイズを見ると、小型乗用車を対象とするものが最も多いように感じています。国土交通省の基準によれば、小型乗用車の駐車ますは、長さ5m、幅員2.3m、普通乗用車は、長さ6m、幅員2.5mとなっています。

〇同じく、通路の幅員は、小型普通とも5.5mとなっています。

〇同じく、天井の高さは、小型2.1m、普通2.2mとなっています。

〇とある駐車場のホームページを見ると、表のような制限の目安を記載しているものもあります。1boxカーがぎりぎりの基準でしょうか。

〇出入り口のマシーンがある箇所には、張り出し式の屋根があるものが多く、高さ制限をしている駐車場が多いように思います。

〇ハイエースキャンピングカーになると、一般的な駐車場では、写真のように、通路に直接出入りできる箇所でなければ駐車さえできないような状況にあり、駐車場を探すのに一苦労しているのが現状です。

〇一般的な駐車場の駐車ますの幅員は。2.3~2.5mとなると、ハイエースキャンピングカーの幅員が約1.9mなので、運転席助手席とも余裕は20cm~30cmしかなく、扉の開閉にも苦労することになります。対策としては、できるだけ端に停めて、側方余裕を確保するようにしています。

〇一般的な駐車ますの長さは、5mの場所が多く、ハイエースキャンピングカーは約40cm近く飛び出してしまいます。隣に大きな車が駐車している場所は、お互いの出入りに苦戦することが予想されるので、できるだけ避けるようにしています。

〇ここ数年で、一番駐車場の確保に苦労したのは、国宝松本城とその城下町の観光に行ったときです。近くに24時間トイレがあって、出入りがしやすいという条件に合った駐車場はなかなかなく、あっても、駐車位置が限定される状況でした。幸い、望んでいた端が確保できたので、ホッとしたことを覚えています。
最後に/運転の注意点

〇国民車ハイエースといえども、特にスーパーロング、ワイドのキャンピングカータイプとなると、標準車が長さと幅に注意を払うのに加えて、高さや重さにも注意が必要となります。
まずは、「ゆっくりと丁寧に周囲に注意を払いながら運転すること」が大前提となります。特に、市街地のコインパーキングなどに駐車する際には、事前に、前面道路や駐車場内通路の幅、駐車枠の大きさ(幅と奥行き)などを確認しておくことをお勧めします。私は、駐車する時には、「できるだけ端に停める」「少し離れた空きの多い場所に停める」「大きい車の横には停めない」などに心掛けています。荷物もできるだけコンパクトにした上で、置きっ放しにならないように注意しています。また、上り坂や下り坂でのスピードコントロールは言うまでもありません。

〇また、ハイエースは直進安定性は高いが、後輪荷重が前輪荷重よりも軽いので、ふんばりがきかないとも言われています。確かに、坂道、段差のある箇所、雪道などで、それを実感しています。キャンピングカーの場合は、荷物を載せることが多いので、できるだけ後方積載に心掛けています。

〇最後に、前輪の真上に載っている感覚を持とうという話をします。ハイエースはボンネットがなく、視界が良い代わりに、嘉新だが前に押し出されている印象があり、それが怖いという感覚に繋がっています。一方で、田舎や山道の狭い交差点で曲がることに苦労されたことはありませんか? 前にせり出しているという感覚よりも前輪が自分の真下にあるという感覚を持つと、狭い交差点もなんとか上手に通過することができます。何度か練習してみてください。
〇今回の記事は、お役に立てたでしょうか? どんな車でも注意すべきポイントがあると思いますが、ハイエースならではの注意点、キャンピングカーならではの注意点について、みなさまの参考になりましたら嬉しく思います。今後も、快適なハイエースキャンピングカーライフを続けるための情報を発信していきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願します。
コメント
これだけ大きいとバスを運転してるようなものですね。内輪差の意識などかなりの運転技術が必要に思えます。勉強になりました。
いつもコメントありがとうございます。
大きい車体にもようやく慣れてきて、広い車内空間の快適さを満喫できるようになってきました。狭い駐車場に駐車するときや、地方の街や山道を行くと、思わず狭い道に迷い込むことがあるので、常に注意を怠ることは出来ません。